TypeScriptで「Element implicitly has an ‘any’ type because expression of type ‘string’ can’t be used to index」エラー

TypeScript を利用して開発をしていると、辞書型オブジェクトを扱う場面で 「Element implicitly has an ‘any’ type because expression of type ‘string’ can’t be used to index type〜」 というエラーに遭遇することがあります。これは 文字列キーを使ったプロパティアクセス時に型が不明確であるため、TypeScript が安全性を保証できない ことが原因です。

本記事では、このエラーの典型的な発生パターンと、その解決法を整理します。

目次

1. エラーが発生する具体例

例えば以下のようなコードを考えます。

const dict = {
  apple: 1,
  banana: 2
}

const key: string = "apple"
console.log(dict[key])

この場合、key は単なる string 型であり、dict のキーが apple | banana であると TypeScript は認識できません。そのため「文字列インデックスでアクセスするのは危険」と判断し、Element implicitly has an 'any' type エラーを投げます。

図解イメージ:

 dict: { apple: number, banana: number }
 key: string (何でも入り得る)
 → dict[key] の型が不明 → エラー

2. インデックスシグネチャを利用する

キーが自由に追加される辞書型であれば、インデックスシグネチャを用いるのが解決法です。

const dict: { [key: string]: number } = {
  apple: 1,
  banana: 2
}

const key: string = "apple"
console.log(dict[key]) // OK

この場合、dict は「任意の文字列をキーに持ち、値は number」と定義されるため、エラーは発生しません。

3. Record型を利用する

よりシンプルに書きたい場合は、TypeScript 標準のユーティリティ型である Record<K, T> を利用できます。

const dict: Record<string, number> = {
  apple: 1,
  banana: 2
}

const key: string = "banana"
console.log(dict[key]) // OK

Record を使うと、辞書の意図が明確になり可読性も上がります。

4. ユニオン型のキーを使う

もしキーが固定的に決まっている場合は、ユニオン型でキーを限定するのが安全です。

type Fruit = "apple" | "banana"

const dict: Record<Fruit, number> = {
  apple: 1,
  banana: 2
}

const key: Fruit = "apple"
console.log(dict[key]) // OK, 型安全

この方法では、存在しないキーを指定するとコンパイル時に検出できるため、バグを未然に防ぐことができます。

図解イメージ:

 key: "apple" | "banana"
 dict: { apple: number, banana: number }
 → dict[key] の型は number と確定

5. 型安全と柔軟性のバランス

このエラーは一見厄介ですが、TypeScript が「辞書アクセスを曖昧に書くとバグにつながる」ことを警告してくれているに過ぎません。小規模ならインデックスシグネチャ、大規模なシステムならユニオン型や Record 型で厳密に管理するなど、プロジェクトに応じて型安全と柔軟性のバランスを取ることが重要です。

6. まとめ

本記事では、TypeScript で「Element implicitly has an ‘any’ type…」エラーが出る原因と解決法を解説しました。

  • 単なる string では辞書キーを安全に判別できずエラーが発生
  • 解決策は以下のいずれか
    • インデックスシグネチャ { [key: string]: T }
    • Record 型 Record<string, T>
    • ユニオン型キー を使った厳密な定義

型定義を工夫することで、エラーは回避できるだけでなく、コードの安全性と可読性が大幅に向上します。

参考

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