Gitで過去のコミットから特定のファイルだけ復元する方法

Gitは、ソフトウェア開発において非常に強力なバージョン管理システムです。開発者は、コードの変更履歴を追跡し、必要に応じて以前の状態に戻すことができます。しかし、特定のファイルを過去のコミットから復元する方法を知らないと、誤って削除したり変更したファイルを取り戻すのが難しくなることがあります。

本記事では、Gitを使用して過去のコミットから特定のファイルを復元する方法について詳しく解説します。

1. Gitの基本概念

Gitは、ファイルの変更履歴を管理するために、コミットという単位でデータを保存します。
各コミットは、特定の時点でのプロジェクトの状態を表しており、コミットには一意のSHA-1ハッシュが付与されます。これにより、特定のコミットに戻ったり、ファイルを復元したりすることが可能です。

特定のファイルを復元する必要がある理由はさまざまです。例えば：

これらの状況において、Gitは非常に便利なツールです。

特定のファイルを復元する前に、以下の準備を行います。

Gitがインストールされていることを確認
コマンドラインで以下のコマンドを実行し、Gitがインストールされているか確認します。 git --version
リポジトリにアクセスできることを確認
復元したいファイルが含まれているリポジトリにアクセスできることを確認します。
基本的なGitの知識
コミット、ブランチ、ステージングエリアなど、Gitの基本的な概念を理解していることが望ましいです。

以下に、特定のファイルを過去のコミットから復元する手順を示します。

まず、復元したいファイルが含まれているコミットを特定する必要があります。以下のコマンドを使用して、ファイルの変更履歴を確認します。

git log -- path/to/file

このコマンドは、指定したファイルに対するすべてのコミットを表示します。出力には、各コミットのSHA-1ハッシュ、著者、日付、コミットメッセージが含まれます。

表示されたコミット履歴から、復元したいファイルが存在するコミットを見つけ、そのSHA-1ハッシュをメモします。

特定のコミットからファイルを復元するには、以下のコマンドを使用します。

git checkout <commit-hash> -- path/to/file

ここで、<commit-hash>は復元したいファイルが存在するコミットのSHA-1ハッシュ、path/to/fileは復元したいファイルのパスです。このコマンドを実行すると、指定したコミットの状態のファイルが現在の作業ツリーに復元されます。

復元が成功したかどうかを確認するために、以下のコマンドを実行してファイルの状態を確認します。

git status

復元したファイルが「変更されている」と表示されるはずです。

復元したファイルをリポジトリにコミットするには、以下の手順を実行します。

これで、復元したファイルがリポジトリに追加されました。

Git 2.23以降では、git restoreコマンドを使用してファイルを復元することもできます。このコマンドは、ファイルを復元するためのより直感的な方法を提供します。

復元したいコミットを特定する
先ほどと同様に、git logコマンドを使用して復元したいファイルが存在するコミットを特定します。
ファイルを復元する
以下のコマンドを使用して、特定のコミットからファイルを復元します。 git restore --source=<commit-hash> -- path/to/file

このコマンドは、指定したコミットの状態のファイルを現在の作業ツリーに復元します。